作詞家としてKing&Prince『ツキヨミ』やSuperfly『愛をこめて花束を』など数々の大ヒット曲を生み出し、700曲以上もの楽曲を手がけてきた音楽プロデューサーいしわたり淳治さん。新刊『言葉にできない想いは本当にあるのか②』(朝日新聞出版)は、テレビ番組やヒット曲の歌詞などから言葉を拾い集めたエッセイ集です。本の中には有名人の言葉にまじって、いしわたりさんの2人の息子のユニークな言葉たちも収集されています。日々言葉と向き合っている作詞家は、子どもの言葉にどんなおもしろさを見出しているのでしょうか。※後編〈「幼稚園を中退し、毎日プラモデルの説明書を読んでいた」 『愛を込めて花束を』作詞家・いしわたり淳治が振り返る子ども時代〉へ続く

MENU 「40」は「よんじゅうぜろ」の方が自然かもしれない 息子に「クソつまんねえ」と言われたら 子どもは「生きている言葉」を家庭で学ぶ

「40」は「よんじゅうぜろ」の方が自然かもしれない

――『言葉にできない想いは本当にあるのか②』は、いしわたりさんが気になったさまざまな言葉が掲載されています。なかでも「家族」という章には、子どもたちのイキイキした言葉がいくつも掲載されていて、大人にはない新鮮な発想に驚きました。

 ありがとうございます。ぼく自身も、子どもの発想って本当に自由で先入観がないなぁと思います。

 本にも書きましたが、次男が4歳のときに「お父さん、『よんじゅーぜろ』って書いてあるよ。よんじゅーぜろって何?」と聞かれたことがありました。

 道路わきの「時速40キロ制限」の交通標識が目に入って、そこに書かれた「40」という数字を「よんじゅうぜろ」と読んだんです。

 なるほど、と思いました。41は「よんじゅういち」。42は「よんじゅうに」。だったら40は「よんじゅうぜろ」と読むんだろう、そうシンプルに考えたんですね。

 大人はそのことに気づきもしないし、なぜゼロを省略するのかを説明できる人もいないでしょう。

――上のお子さんの「ひとりはおおきい」という言葉も、なぞなぞみたいでおもしろいですね。

 そうそう(笑)。「ひとりは、おおきい」「ふたりは、てんごくだ」って言うんです。なんだかドキッとしますよね。

 単に、「一」に「人」で「大」だし、「二」に「人」で「天」になるということを伝えたかったみたいです。

 でも、一人でいろんなことができるのが大人になるということだし、好きな誰かといっしょにいると天国みたいに楽しい。哲学的だなぁと思いました。

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神素子
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