Sちゃんが寝た後、「こんなに大変な思いをするとは思わなかったね。明日の合格発表まで身が持ちそうもないから、温泉にでも行って慰労会をやろう。そこで今まで頑張ったことを認めてあげよう」と夫婦で話し合い、すぐに旅館を予約。3回目の試験を終えたその足で、熱海に向かったそうです。
温泉に入って美味しい食事を食べて、「3年間よく頑張ったね!」とまずは努力を認め、3人ともに心を解放しました。そして、旅館で最後の合格発表を見ることに……。どんな結果も受け入れる覚悟ができた3人の目の前には「合格」の文字がありました。
Sちゃんは月日が経ったある日、「試験最終日の朝、玄関先でママの目がウルウルしているのを見て、もしこのまま第1志望校に受からなかったら、ママに責任を感じさせてしまうかもしれない。頑張ってこよう!と思ったんだよ」と言ったそうです。「不合格が続いた時、こんなにしんどい受験体験をさせてしまって申し訳なかった、という思いしか私の頭になかったんです。娘に救われましたが、そんな状況になったときに、親として支える言葉を用意しておけばよかったなと反省しています」とママは振り返ります。
中学受験を始めた時、不合格が続いて辛い思いをすることなんて、だれも想像はできないものです。だからこそ、不測の事態に陥った時に、子どものメンタルを支える言葉と、全てを受け入れる覚悟を持つことが、親としては必要不可欠なことなのかもしれません。
(取材・文/鶴島よしみ)
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