ネガティブな動機で受験する子は最終的に強い
安浪:女の子のケースですが、学校でいじめられていて、相手の子たちと一緒の地元の学校には絶対に行きたくないから受験したい、と言っている子は今までにも何人かいました。もうこれは、その子にとっての死活問題ですから、勉強もすごく頑張るんです。やっぱり何となく受験をして、ダメだったら地元の公立に行けばいいや、と思っている子たちと比べて真剣度が全然違います。

矢萩:受験でネガティブな動機を持っている子って、最終的にすごく強いんですよ。特に中学受験はその傾向が強いような気がします。
安浪:あと、公立中学の雰囲気ってどちらかというと地域特性に関わってくることが大きいですが、ご相談者さんのお子さんはまだ小1なので、状況もこれから変わりそうですけどね。
矢萩:そうですね。それにお子さんが成長するにつれてどんな思考を持つのかもわかりませんしね。タバコを吸っている生徒を見た時に、息子さんもそんな学校は生理的に無理、って思うならやめたほうがいいし、もしかしたらそういう生徒がいるくらいの環境にもちょっと興味があります、って言うかもしれないし。そういう子なら、それこそあまりお堅い学校に行くほうが合わないのかもしれないし。まあ、極端な話ですが。
安浪:とはいえ、息子さんから意見が出るまで待つ、というのも遅すぎるでしょうから、ある程度は親がご家庭の教育の軸を考えて、それにあった学校を探していくことになるでしょうね。
矢萩:やっぱり子どもがどんな環境に身を置くかで成長の仕方はすごく変わりますし、周りにいる人間によってものの考え方も大きく影響を受けます。孟子の「孟母三遷」じゃないですが、やはり親が環境を選んでいくことは大事なことだと思います。
安浪:あと、噂とか口コミレベルでない、正しい情報を知るにはどうしたらいいでしょうか、というご相談ですが、これは実際にご自身が学校に足を運んでみることでしょうね。どの学校も学校説明会はありますよね。公立中だと秋にあることが多いのかな。それ以外でも、入学式とか保護会などがある日に近くに行ってみて、そこに集まる保護者の雰囲気を見るとか。学校によって保護者層の雰囲気も全然違うので。もちろんそれも息子さんが中学に入る6年後は変わる可能性はありますが、だいたい雰囲気はわかります。
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