――運動会などの学校行事で“負け”を経験することで、打たれ強くなる。そんな考えについては、どう思われますか。
それは、程度の問題だと思いますね。「あれもダメ、どうせこれも苦手で自分はダメなんだ」といった意識が刷り込まれてしまうほどに順位づけが激しくなると、結果的にスクールカーストにつながりかねない。それよりも、「これができなくても、生きていけるんだ」と思えるかどうかのほうが大事ですね。運動会でビリでも、勉強の何かの科目がビリでも、自分の魅力や得意なものは絶対あるんですよ。「私がこれでいいと思えばいいんだ」というところが基本にあり、そこに揺るぎない自信を持っておくことが大切ですね。
それから、嫌なことをいかに忘れるかもけっこう重要ですね。運動も勉強もトラウマになってしまいがちですが、明るく忘れて、日々を幸せに生きて、自分のいいところを伸ばしていく、そのことのほうが重要なのではないか。その能力のほうが一生ものの財産ですよ。
(取材・文/古谷ゆう子)
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