思い出しては嬉しくなるような“褒められ”エピソードを集めたマンガ『たまに取り出せる褒め』(KADOKAWA)。著者は、漫画家・イラストレーターの室木おすしさんで、3人の娘さん(小4の長女、小2の双子)のパパです。娘さんたちのことはどのように褒めているのか、意識されていることをうかがいました。※前編<「双子が生まれると聞いて、たじろぎました」小学生3姉妹のパパ漫画家・室木おすしが語る子育て>から続く

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親の都合だけでは褒めない

――ご著書『たまに取り出せる褒め』は、ご自身をはじめ、さまざまな人のちょっとした「褒められ」エピソードを室木さんがマンガにされています。娘さんたちを褒めるときに意識されていることはありますか?

 相手を尊敬しているという気持ちを伝えることが“褒める”ということなのかな、と最近思っていて。例えば自分が完全に忘れているようなことを子どもが覚えていた場合、「そんなこと覚えていたの? すごいね。お父さんはすっかり忘れていたよ」というように、「偉いね」と言うのではなくて、驚いたリアクションで伝えるという感じです。「自分はお父さんよりもすごいんだ」って思えると、「偉い」と言われるよりも嬉しいんじゃないかなって。

――確かに「偉いね」という言葉は、対等ではない印象があるかもしれません。

 自分が子どもだったころを思い返すと、親にクイズを出して答えられないと「大人を困らせてやった」みたいな感覚になってすごく嬉しかったんです。そんな気持ちになってもらいたいなと思って、声がけするようにしています。

――ご著書では、室木さんが中学生のころにクラスメートの家でのお菓子パーティに誘われたときのエピソードが書かれています。そこで室木さんが持って行ったお菓子のセンスを褒められて。

 そのときのことを今でも思い出して嬉しく思っているということをマンガにして「オモコロ」にアップしたら、反応がよくて。自分以外の人の褒められた話も聞きたいなと思ってエピソードを募集して、連載にしたんです。

――褒めるつもりもなく言ったささいな言葉が、言われた側にとっては嬉しい言葉としていつまでも覚えているというのは確かにありますよね。

 そうですよね。子どもたちには、ちょっとしたことでもいいなと思ったことは、ややオーバーに「いいね!」「すごいね!」って声をかけるようにしています。

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中寺暁子
ライター 中寺暁子

健康情報誌編集部などを経て、2000年からフリーに。医療・健康・教育のテーマを中心に取材・執筆活動を行う。

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