ですから、ぜひ皆さんには子どもの通う教育機関の防災マニュアルを確認してほしいのです。家庭内での防災対策はもちろん必要ですが、子どもが多くの時間をすごす家庭以外の場所がどんな安全対策をしているかにも注意を払ってほしいと思います。
避難訓練や引き渡し訓練を実施している学校もあると思うのですが、保護者からも一歩踏み込んで「こういう場合にはどうなりますか?」という質問を投げかけることで、親と学校の双方の防災意識が高まるのではないでしょうか。
家でも学校でもない場所で被災したとき、子どもは動けるか
――東日本大震災の発生時はちょうど子どもたちの下校時間でした。学校でも自宅でもない場所で被災した子も多かったですよね。
そうなんです。私の子どもはまだ赤ちゃんでしたが、小学生や中学生の中には一次的に「行方が分からない」という状態になった子がたくさんいたそうです。親は本当に気が気ではなかったと思います。
学校と自宅以外の場所で被災する可能性も十分にあるので、「そのときどうするか」を話しておくことはとても大切です。
――アベさんは具体的にどんなことを教えていますか?
登下校中に大きな地震があった場合には、
- 登下校の途中であれば、ランドセルやカバンなどで頭を守ること
- ブロック塀や自動販売機、お店のショーウィンドウなどのガラスから離れること
- 車の前に飛び出さないように注意すること
- 家と学校、近いほうに避難すること
ということなどを話しています。自分の身は自分で守ろうね、と。
災害時は「安全な場所にいる」と知るだけで安心できる
――東日本大震災のとき、東京では当時交通機関が麻痺して、職場から家に帰れない親も多くいました。深夜になって家に戻るまで、お互いの無事が確認できなかったケースも少なくなかったようです。
災害時はお互いが「いま安全な場所にいる」とわかるだけでも、無理をして危険な場所に探しにいったりしなくてすみますよね。私も震災のときには、夫の安否が心配で車で海沿いの夫の会社に行こうとして、自分と長男の命を無自覚に危険にさらしてしまいましたから……。
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