算数の問題を解く上で大切な「試行錯誤力」。いったいどんな力で、どう伸ばすことができるのでしょうか。子どもの試行錯誤力を伸ばすために親ができることなど、思考力育成アプリ「シンクシンク」を開発した川島慶さんにお聞きしました。子育て情報誌「AERA with Kids2024年冬号」(朝日新聞出版)からお届けします。
【図】”試行錯誤する力”はどう生かせる? ポイントはこちら予測不可能な時代に必要な「考え試す力」
「算数パズルは、図形の中に線を見いだしたり、アイデアを出したりして問題をスカッと気持ちよく解決する“算数の本当の面白さ”を体験し、遊びながら数理的思考力を身につけることができます」と語るのは、算数パズルの問題集やアプリを開発してきた川島慶さん。数理的思考力には、図形センス、空間認識力、試行錯誤力、発見力、論理性、要約力、精読力、意志力などさまざまな力が必要とされます。その中でも、今回は「試行錯誤力」について紹介します。
「試行錯誤力とは、手を動かしてあれこれ試す力のこと。赤ちゃんの時に立ち上がろうと何度も挑戦する力でもありますし、算数で言えば、とにかく線や絵を描いてみたり具体的な例で実験してみる力です。1万人以上の子どもたちを見てきて、子どもに本来備わっている力だと確信しています」(川島さん、以下同)
この力を引き出すために親ができるのは「手を出さないこと」。
「“近道を教えてあげたい”と思ってしまうのが親心。でも、一見子どもが意味のないことや効率の悪いことをしているように見えても、その過程こそが大切。寄り道をしながら自分なりのやり方を見つけて進んでいくことに価値があるのです。また、お子さんが問題が解けなくてイライラしているときの声掛けの相談をよく受けますが、そういったときよりも問題を解けて喜んでいるときに『いろいろ試したから解けたんだね』『ここで諦めずにじっくり考えられたね』と、できたことではなくその過程を言語化してあげるほうが効果的です」
さらに、「うちの子は算数が苦手」という場合もあるが、親が決めつけないことが大事と川島さん。
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