子どもの語彙を増やすために、親がどんなサポートができるのでしょうか? 「簡単かつ面白く思える」授業で、国語が好きになると生徒から定評があるスクールFC小学部 国語科責任者 柿花尚吾さんにお話しをうかがいました。子育て情報誌「AERA with Kids2024年冬号」(朝日新聞出版)からお届けします。
【図】「表す力」はどう生かせる? ポイントはこちら!表現したいことがあれば 言葉は自然に増えていく
「今日学校どうだった?」「サトルがヤバくてさ」「ふーん?」。子どもと話しても会話が深まらないことはよくあるでしょう。
「子どもが『ヤバい』という表現で済ませようとするのは、使える言葉の中で一番簡単で自信があるものを選ぶから。自信を持って使える言葉を増やしてあげることで、表す力はぐんと育ちます」と語るのは、わかりやすくて面白い国語の授業に定評のある柿花尚吾さん。
「とはいえ、言葉を単体で覚えるのは難しい。何かを伝えたり、表したりするために必要な言葉を覚えていくと、自然と語彙力が高まっていきます」(柿花さん、以下同)
実際に、ポケモン図鑑を自作しようとした子が、「かっこいい」という言葉だけではキャラクターの特徴を表せないと気付き、「フォルム」や「とぐろを巻く」といった語彙をどんどん覚えていったそう。
親子の日常会話では、「話を掘って具体的にすること」「整理整頓すること」を意識するとよいそう。冒頭の会話なら、「何があったの?」「なぜそんなことを言ったの?」と深掘りし、「サトルくんはきっと『悔しかった』んだね」と整理整頓して返してあげることで、子どもは言葉を修得していくことができます。
「『楽しかった』も子どもが多用する言葉ですが、詳しく聞くと『興奮』や『満足』などに言い換えられます。言い換えは親御さんがどんどんしてあげてください。語彙の分かれ道が増えていろいろな表現ができるようになります。家の中で使う言葉のバリエーションを増やして、生きた形で触れさせてあげましょう」
子どもが間違った言い方をした時は「肯定ファースト」を意識。
「違うよと否定するのではなく、『その表現、よく知っていたね』と褒めてからアドバイスや修正を」
次のページへ「表す力」を磨く最大のメリットは?