そんな息子をサポートするために、私も息子が小学1年生のときから発達障害を研究し、5年生のときから「インクルボックス」の活動を開始しました。発達障害の知見が高まってくると、息子の良い部分がたくさん見えるようになり、ときにそれは驚くようなきらめきを見せることもありました。「この感性や才能を生かすも殺すも私次第だ」と感じました。
発達障害支援は「療育で当事者を社会適応させること」よりも「周囲が発達障害を理解すること」が重要だと多くの専門家が言っています。社会が発達障害を少しでも理解してほしいと思い発達障害動画メディア「インクルボックス」では情報を発信しています。
――このメディアの活動はどのようなものですか?
元々「インクルボックス」は、私が息子の支援のために多くの専門家や支援企業から話を聞いて、役立ったことを、同じ悩みを持つ人に共有しようと思って始めたものです。映画専門チャンネルがあるように、「インクルボックス」は発達障害やギフテッドの専門チャンネルで、これまでに500本近くの動画を配信しています。毎週新しい動画を2本ずつ配信していて、発達障害の基礎知識を学べるもの、専門家インタビュー、支援グッズの紹介や、イベントの情報などさまざまな情報を集めています。
対象は発達障害当事者ではなく、発達障害のお子さんをお持ちの親御さんや、幼稚園、保育園、学校の先生、同僚に発達障害の方がいるビジネスパーソンです。社内での知見を高めダイバーシティーを強化するために「インクルボックス」を活用してくださる企業もいらっしゃいます。
――これまで人知れず悩んでいた高IQと発達障害の両方を併せ持つお子さんを育てている保護者だけでなく、誰でもアクセスできることで、発達障害への理解も深まりそうですね。
発達障害は決して一部の人だけの問題ではなく、すべての人が発達障害と同様の特性を大なり小なり持っています。特に子どものころの向き合い方が重要なので、将来的には全国の義務教育の教員の皆さんに「インクルボックス」を見ていただき、子どもたちの可能性を広げていってほしいと思います。
(取材・文/玉居子泰子)
※前編〈元テレ東・赤平大アナが語る、発達障害で高IQの息子の子育て「勉強は息子にとって“身を守る”武器」〉から続く