「時々休む子どもや少し遅刻して登校する子どもが、ここ数年増えています。いま増加している不登校の背景に、経験的にカリキュラム・オーバーロードが関係しているのではないかと私は考えています」(水本さん)

授業の準備時間が十分に取れず、やる気に満ちた若い職員が疲弊

 カリキュラム・オーバーロードは子どもたちの負担になっているだけではありません。教員にも深刻な影響を及ぼしているといわれています。

 水本さんの学校では午後3時半から4時15分が教員の休憩時間になっています。お昼は給食指導があり休めないため、授業が終わった後に休憩をとっているのだといいます。

 しかし、「私の学校で休んでいる人は誰もいない」と水本さんは話します。学級事務や報告書の作成などその日のうちにこなさなくてはならない仕事があり、休む時間がないのです。

「教員は何かの時間を削るしか対応できなくなっています。本来、いちばん大事でいちばん時間をかけなければいけない授業準備を削らざるを得ないのが現状なのです」(水本さん)

 経験のある教員であれば、授業準備に十分な時間がとれなくてもなんとか工夫して対応できるかもしれません。一方で、前述したように学校で教える内容は増えています。若手教員の中には授業をうまく進められないことが原因で体を壊したり、休みをとったりする人がいると水本さんは話します。

「授業準備も十分にできないなか、教える内容は増えています。十分理解できていない子どもがいるとわかっていても、授業だけは前に進めていかなくてはいけない。自分なりの工夫した授業をしたいとやる気に満ちた若い教員がどんどん疲弊していっています」(水本さん)

「時数」と「内容」をセットで削減する必要がある

 教員志望の人が減り続けるなか、教員の働き方改革が言われています。学校でもいろいろな工夫をしていますが、「現場はすでに限界まできている」と水本さんは嘆きます。

 また、水本さんは最近、特別支援学級に通う子どもが増えていると感じています。学習内容の多さから、授業のスピードの速さについていけない子どもが増えていることも一因ではないかと水本さんは考えています。

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