小学校ではすでにグラフで示したように1989標準時数(1989年の教育課程基準に基づく標準時数)から平日1日時数は増え続けています。02年度から完全週5日制になった当初は「少しはゆとりが生まれる」と歓迎する雰囲気もありましたが、平日1日当たりの授業数も増加する結果につながっているのです。こうした学校現場の状況をみてくると、今のカリキュラム・オーバーロードの状態を改善するしかないように思えてきます。
では、子どもや教員に過重な負担とならない授業時数とはどのようなものでしょうか。水本さんから返ってきた答えは「小学校高学年で1日5時間、週25時間程度が理想的」というものです。
「今の状況を解消するには授業時数を減らすだけでなく、学習内容も同時に削減していく必要があります。時数だけ減らすと授業がぎゅうぎゅう詰めになるだけで、子どもたちを苦しめる結果になりますから、時数と内容をセットで削減していくことが大切だと考えています」(水本さん)
※別記事<【「小学校の平日1日の授業時数は過去最多」 休み時間、放課後が奪われる「詰め込みすぎカリキュラム」の問題点とは】に続く>
(取材・文/西島博之)
学校の時数をどうするか――現場からのカリキュラム・オーバーロード論
大森 直樹,大森 直樹,永田 守,水本 王典,水野 佐知子
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