ほぼ毎日6時間授業が当たり前になったことで、疲れや集中力の低下といった影響のほかに下校時間が遅くなることの弊害もあるようです。水本さんがこう話します。

「当校では6時間の授業がある日は午後3時10分に帰りの会が終わり、子どもたちは3時15~30分ごろに下校します。家が遠い子どもは30分くらいかけて歩いて帰ります。北海道は今の時期、午後4時を過ぎると暗くなります。外で遊ぶこともできませんから、子どもたちは通信ゲームで友だちと遊んでいます。ゲームを巡ってトラブルも起きています」

子ども祭りは中止、教科書の厚さは1.8倍に

 水本さんの学校では、1日の授業時数が膨らみすぎないように工夫してきたと言いますが、それにも限界があるようです。

「授業数が多くならないようにするには、学校行事や自主的な活動の時間を減らすしかありません。前に勤務していた学校では年1回、『子ども祭り』を行っていました。高学年のクラスがお化け屋敷などの店を出したりして、子どもたちがとても楽しみにしていた行事だったんです。それをやめると話したときの子どもたちの言葉が忘れられません。『とても楽しみにしていたのに、なぜやめるんですか』と」

 子どもたちの負担になっているのは授業時数だけではありません。授業内容も増えているのです。それを端的に表しているのが教科書の厚さです。小3の算数(上)の教科書は十数年前、約100ページでした。いまは約160ページだと水本さんは話します。

 また、一般社団法人教科書協会の「教科書発行の現状と課題」によると、2024(令和6)年度の小学生の教科書のページ数は、2005(平成17)年度と比較して、約1.8倍にも増えています。それだけ学ぶ内容が増えているのです。

教科書のページ数の推移(出典:一般社団法人教科書協会)
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