白髪は加齢と遺伝の要素が強く、現在のところ、効果が期待できる治療はありません。白髪との向き合い方や白髪を増やさないようにする生活習慣、白髪対策の一つである「白髪染め」の基本的な知識や注意点などについて、皮膚科専門医の野田真史医師に話を伺いました。

MENU 白髪は治すことも防ぐこともできない 染毛剤の特徴を理解し、自分に合ったものを選ぶ かぶれに気づいたら、できるだけ早く皮膚科へ

白髪は治すことも防ぐこともできない

――よく「白髪にはわかめや昆布、ゴマがいい」などと言われます。白髪を防ぐ方法はありますか。

 現時点で「これを食べれば確実に白髪を防げる」と証明されたものはありません。

 白髪が発生する2大要因は加齢と遺伝なので、白髪を防ぐのは難しい。できるだけ増やさないようにするには、細胞を老化させないこと。いわゆる「良い生活習慣」ですね。具体的には、禁煙、十分な睡眠時間を確保する、栄養バランスのとれた食事をする、適度に運動して肥満を防ぐ、ストレスを上手に発散するといったことです。

 いずれも白髪予防との因果関係がはっきりしているわけではありませんが、生活習慣の改善は白髪だけでなく心身の健康を保つ上で多くのメリットをもたらします。髪にとっても良い生活と言えるのではないでしょうか。

――白髪の出始めは1本1本が目立つので、気になって抜いてしまいがちです。「白髪は抜くと増える」というのは本当ですか。

 抜いたからといって白髪が増えることはありません。髪を黒くするメラニン色素を作る色素細胞(メラノサイト)はそれぞれの毛の毛根にあるため、1本抜いてもほかの毛には影響はないとされています。

 ただ、抜いた毛根から新しく生えてくるのは、黒髪ではなく白髪です。また、抜いた部分の毛穴や周囲の組織が炎症を起こして新しい毛が生えてこなくなることもあるので、抜くのはやめましょう。気になる場合はハサミで短く切るか、染めるのがいいと思います。

――白髪を減らすのは諦めて、出てきた白髪に対して毛染めなどをしたほうが現実的でしょうか。

 そうですね。現時点では白髪の効果的な治療法はないし、白髪を生えてこないようにする確実な予防策もありません。白髪をなんとか減らしたいと思う気持ちも理解できますが、切り替えて毛染めを楽しんだほうがいいと思います。

次のページへ染毛剤の種類と特徴は?
著者 開く閉じる
熊谷わこ
熊谷わこ
1 2 3