白髪は老化のイメージが強く、ネガティブに受け止める人も少なくありません。そもそも白髪とはどのような状態で、なぜ白髪になるのでしょうか。効果が期待できる治療法はあるのでしょうか。白髪にかかわるさまざまな疑問について、皮膚科専門医の野田真史医師に聞きました。
【チェックリスト】病気の可能性があるかも?白髪の生え方白髪の主な要因は「加齢」と「遺伝」
――「白髪」とは、どのような状態なのでしょうか。
毛髪の黒やこげ茶などの色は、メラニン色素によるものです。メラノサイト(色素形成細胞)で作られたメラニン色素が、髪を生み出す毛母細胞に受け渡されることで、髪に色がつきます。何らかの原因でメラノサイトの働きが低下してメラニン色素を作れなくなったり、毛母細胞にメラニン色素を受け渡す過程が障害されたりすると毛髪は色を失ってしまいます。この状態が白髪です。
――白髪の原因は?
もっとも大きな要因は「加齢」です。年を重ねていくにつれてからだを構成する全ての細胞は老化し、活動が低下します。メラノサイトも同様で、メラニン色素を作り出せなくなったり、メラニン色素を毛母細胞にスムーズに渡すことができなくなったりすることで白髪になります。
――でも20代から白髪が出る人もいますよね。
白髪の生え始める年齢や進行するスピードは、かなり違いがあります。30代半ばくらいから少しずつ増えていくケースが多いですが、20代でかなり目立つ人もいますし、10代でもパラパラと出ている人もいます。逆に60代になっても黒々としている人もいます。
個人差を生み出している大きな要因は、「遺伝」です。親や祖父母に若いころから白髪が出ていた場合はご自身も早めに出ることが多い。薄毛もそうですよね。メカニズムは完全に解明されていませんが、メラニン色素を作りにくいとかメラノサイトが髪に色素を供給できないといった体質が遺伝すると言われています。
とはいえ、必ず親と同じパターンになるわけではなく、「自分は母親と同じで20代から白髪染めをしているけど、姉はほとんど白髪がない」というのもよくあることです。
また「男親と女親、どちらからの遺伝が強いのか」といった性別による違いも、はっきりしていません。
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