本を読むと国語力は身に付けられる? 都内で中学受験塾「應修会」を主宰する茂山起龍(きりゅう)さんのAERA with Kids+連載「中学受験、その先に」。中学受験塾・希学園首都圏の学園長で国語科専任講師を務める山﨑信之亮(やまさき・しんのすけ)さんと対談、読書と国語力の関係について語ってもらいました。

MENU もっと絵本や漫画を読む時間も大切にしていい 「中学受験に役立つのはこういう本だ」と無理に読ませても国語力はつかない 「知らない言葉があっても読み進めよう」という感覚は大切

もっと絵本や漫画を読む時間も大切にしていい

――子どもたちの「本」との向き合い方について、日々感じていることはありますか。

茂山起龍(以下、茂山) 小学校中学年の生徒とその親御さんたちの様子を見ていて感じるのは、「絵本」から「本」に移行するのが早すぎるのではないか、ということです。

山﨑信之亮(以下、山﨑) そう、早すぎますよね。

茂山 絵本は幼い子どものためのものと捉えている大人が多いのではないか、と。「もっと難しい文章を読めるようにならなければ。それこそが必要なことなんだ」と考えている人が多いな、と感じます。もちろん、本人がそれを望み、楽しんでいるのならいいのですが、「小学4年なのにこの本を読むのは恥ずかしい」という意識を大人が持ってしまうのは良くないな、と。

山﨑 世間体を気にして絵本を卒業させるのは本当に良くない、と僕も思います。

茂山 大人になって読み返し、「この絵本にはこんなにも大切なことが書かれていたのか」と、幼い頃は気づけなかった側面に心揺さぶられることってありますよね。そうした思いをもう少し育ててあげてもいいんじゃないかなと思います。

山﨑 少し別の視点にはなりますが、絵本や日本昔話に添えられているデフォルメされた絵って、じつはものすごく心情理解に役立つんです。例えば、「顔が青くなる」という言い回しがありますが、実際の生活ではそんな状態の人を見たことはありませんよね。でも、文学作品ではお馴染みの表現であり、イラストを通して心情を理解することができるようになる。「目を三角にする」という慣用句も同じで、目を三角にした鬼のイラストを視覚的に取り入れることによって、深く理解することにつながる。もっと絵本や漫画を読む時間を大切にしてもいいのにな、と感じます。

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茂山起龍
中学受験塾「應修会」塾長 茂山起龍

しげやま・きりゅう/1986年生まれ。中学受験を経験し、大学附属校に入学。大学在学中から個別指導塾、大手進学塾などで中学受験指導に携わる。会社経営の傍ら、2011年、東京・西葛西に中学受験指導塾「應修会」を開校。自らも教壇に立って指導を行う。中学2年、小学6年の男子の父。X(旧Twitter)での中学受験についての発信も人気で、フォロワーは1万人を超える。X: @kiryushigeyama

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