学校の休み時間や、体育の授業で骨を折ってしまう子どもは、過去30年間で1.5倍も増えています。特に、寒さが増してくる時期は骨折が多いそう。東京大学の客員研究員であり、年間500本以上の論文を読破する柳澤綾子医師に、骨折が骨の成長に与える影響や、いざというときに親がすべき応急処置などを聞きました。※後編<スポーツ系の習いごとをしていても運動不足? 骨の成長に必要な「協調運動」について東大医学博士ママが語る>を読む

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とび箱、バスケ、ドッジボール。骨折が多い種目

――子どもの骨折はどのくらい増えているのでしょうか?

 (独)スポーツ振興センターが調査している「学校の管理下の災害」によると、子どもの骨折は小学生から高校生までのすべてで増えており、全体で30年前の約1.5倍。1970年と比べると約2.4倍に上ります(※1)。小学生は学校の休憩時間(休み時間)の骨折が約半数を占め、次いで教科等(授業中)の骨折が約3割。授業中の骨折の多くは体育です。

 骨折をした運動種目はとび箱が年間約5600件と断トツで多く、次がバスケットボール(約3400件)、ドッジボール(約1400件) の順です(※2)。部位別には、手や指の骨折が多く、とび箱で手をつき損ねたり、バスケットボールでボールを受け損ねたりして骨折しています。ほかに「頭部」では鼻の骨折が多く、球技をしていてボールが顔面に当たったり、ヘディング同士が衝突したりしていることが予想されます。「体幹部」の骨折は肩が多いのですが、これには鎖骨も含まれます。鎖骨は細く、強い力が加わると簡単に折れてしまいますから、戦いごっこのような遊びの最中に骨折しているのかもしれません。

 月別に見ると、骨折が一番多いのは11月です。運動会などの行事があるほか、まだ体が寒さに慣れきっていないために筋肉が硬くなりがちで、骨折につながっている可能性があります。

――中学生の骨折は、特に増えているようですね。

 そうですね。中学生は部活中の骨折が多い傾向があります。小学生まであまり運動していない子どもが中学校から運動部に入ると、急に激しい運動をするようになって骨折のリスクが高まるのではないかと思います。

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越膳綾子
ライター 越膳綾子
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