加えて、エックス線画像の精度が上がり、骨折の検出が増えている可能性もあります。少し角度を変えたり、3Dで撮ったりできるようになったため、以前は骨折なのかひびなのか分かりにくかったものも、骨折と診断できるようになりました。
――骨折しやすい子どもに共通した特徴はあるのでしょうか?
やはり活動量が多いほど骨折しやすいので、元気いっぱいなタイプですね。統計上、骨折をする頻度は男子のほうが女子より1.6倍多くなっています。大人では考えられないようなスピードやパワーで行動するのは男子に多いのではないでしょうか。
また、骨のもろい先天性疾患のある子どもの骨折もゼロではないと思います。
子どもに多い「若木骨折」とは?
――そもそも子どもは骨折しやすいのでしょうか?
いいえ、むしろ子どもは大人よりも骨折しにくいんですよ。木の枝に例えると、大人の骨は少し古くなって乾燥した枝のようなもので、強い力を加えるとパキッと折れます。それに対し、子どもの骨はみずみずしい若い枝。折ろうとしてもグニャッと曲がって真っ二つにはなりません。子どもの骨は水分が多くて柔軟性があり、骨の表面を覆っている「骨膜」も分厚いので、簡単には折れないのです。骨折をしても、骨膜や周りの皮膚はそのままで、中の骨が部分的に折れる「若木骨折」が多いことがわかっています。
――もし、子どもの骨折に居合わせた場合、どのような応急処置をすべきでしょうか?
子どもの骨折は、見た目ではわかりにくいことが多いのですが、本人は激痛です。ほとんどの場合、痛さのあまりに周囲の人が触ろうとしても触らせてくれません。自然と本人が一番痛くない体勢になるので、無理に患部を伸ばしたり固定したりせずに、安全な場所で休ませてください。
可能であれば、患部を保冷剤などで冷やすのもいいでしょう。骨の中には血管が通っていて、骨折すると出血します。すると骨膜や筋肉が圧迫されて痛みが強くなり、腫れてきます。患部を冷やすと血管が収縮して出血が減りますから、少し痛みが楽になります。内出血を起こしているようなら、骨折かどうか判断がつかなくてもまずは冷やすのが正解です。
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