そもそも「反抗期」ってなんだろう?
じゃあそもそも「反抗期」ってなんだろう、ということも考えてみた。そこで見つけたのが、臨床心理士の田中茂樹さんの言葉。田中さんによると、反抗期は子どもからしたら「自己主張をして、自分のことを守ろうとする、対人関係の練習の時期」らしいんだ。つまり、自分の考えを人に伝える練習期間みたいなものなのかな、って。そしてそういう時期がないと、大人になってから自己主張ができなくなって、理不尽なことを押し付けられることもあると、田中さんは言っていた。
あと、「脳がそういうふうにできている」らしい。『10代の脳 反抗期と思春期の子どもにどう対処するか』っていう本によると、人間の脳って、後ろのほうから前のほうにかけて発達するらしいんだけど、最後に完成するのが脳の「取締役」ともいわれる前頭葉(ぜんとうよう)という部分なんだ。前頭葉は自分がどう動くべきか、決定したり判断したり、衝動をコントロールしたりする役割を担っている。思春期くらいではその機能が未発達で、車でいうとアクセルは完成しているけどブレーキの機能がまだできあがっていないような状態。自分の感情が整理できず「反抗期」の状態が生まれるらしい。
認知症のお母さんを持つ後輩芸人がいるんだけど、その後輩はお母さんが認知症と診断される前は「なんでこんなこと忘れちゃうの?」って腹が立ってしまうことが多かったみたい。でも、認知症だとわかってからは、心の整理がついたと言っていた。たとえば赤ちゃんが歩けないのは当たり前だから誰も怒らないよね。小学校高学年から中学生くらいの子に対しては「脳の発達段階だから反抗するんだな」って知っておけば、受け止められたりもするんじゃないかな。
「自分でわかっていても制御できない……」ってことが、思春期では起こりやすいんだよね。きっと、本人も感情がぐちゃぐちゃ。成長期でからだも急激に変化するし、勉強や部活動など新しい環境についていくのにも必死なんじゃないかな。よしおも当時はそんな感じだったから、脳のしくみの話を知って、「そういうことが起きていたんだ」って腑(ふ)に落ちたよ。
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