矢萩:どの学校もよく見えるというのは、素晴らしいことだと思います。学校のあら探しをするといくらでも出てきますし、実際に入学すると学校自体の問題よりもクラスや先生との相性のほうが影響が大きかったりします。校庭の広さや設備面、部活、宿題、ケア体制など、自分たちがこだわっている軸やポイント以外は、ポジティブな面に注目する選び方でよいと思います。
安浪:軸といっても中学受験の軸だけでなく、もっと根幹にあるのは家庭における教育の軸ですね。そもそもどんな人間になってほしいと思っているのか。情緒的な話になりますが、生まれて名前をつけたときに、一番最初に考えているはずなんです。それを思い出してみるのもいいかもしれません。
いざ通い始めると大事なのは「人間関係」
矢萩:僕は中学校や高校でも教えているんですが、その中で「今通っている学校のどこが好き?どこが嫌?」といった質問をたくさんの生徒にしてきました。それでわかったのは、実際に通っている生徒たちが感じている好きな部分も嫌な部分も、大半が人間関係についてなんです。「この教科の先生が好き」「担任の先生と合わない」「友だちが楽しい」「部活の先輩が嫌」など、社会人の悩みの多くが職場の人間関係なのと似ています。先生たちは学校のハード面やプログラム・カリキュラムがいかにすごいかを力説しますが、いざ通い始めると結局人間関係が大事になってくるんですね。
安浪:それ、すごくわかります。「絶対に受験する!」と言っている小学生には、今の小学校の人間関係が続くのが嫌だから、という動機の子もいますもんね。
矢萩:じゃあ、どうやってそれを見分けるか、ということですが、まず、今小学校に通っている中での人間関係を思い浮かべてみて、こういう友達とは喧嘩することがあったな、この先生とはうまくいっていたな、あるいはこういう先生とはうまくいかなかったな、など、なんとなくでいいので「人物像」をイメージしてから志望校を見てみることです。「この学校だったら、うちの子とは合いそうな人が多そうだ」とか「先生とぶつかりそうかな」ということをイメージしてみます。
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