子どもが大好きな「グミ」は手ごわい相手
――むし歯や肥満リスクのある甘い食べ物について、親はどのような点に注意したらいいでしょうか。
WHO(世界保健機関)は2015年に「成人及び児童の糖類摂取量」のガイドラインを公表しました。そのガイドラインでは、糖類の摂取量を、1日に摂取する総カロリーの10%未満に抑えることを推奨し、5%未満まで減らせるとさらに望ましいとしています。この“5%未満”を達成するには、平均的な成人で1日約25gまでに糖類を抑えなくてはなりません。しかし、それがけっこう難しいのです。東京大学の発表によると、日本人の成人女性の89%、幼児の90%がWHOの基準をオーバーしていました(※3)。
子どものうちから糖類を過剰に取っていると、体内のインスリンのはたらきが弱くなり、血糖値をうまくコントロールできなくなる場合があります。そうすると「2型糖尿病」の早期発症リスクになってしまうので、やはり親御さんが気をつけてあげることが大切です。
子どもの場合は、何げなく飲んでいるジュースなどが、糖類の取りすぎにつながっているのではないかと考えられます。もちろん、チョコレートやスナック菓子などにも糖類はたくさん含まれていますし、最近はグミが好きな子どもが多いですよね。グミは糖類が大量に含まれていますが、小さなつぶなのでつい食べすぎてしまいがちです。さらに、グミは粘度があるため口内に残りやすく、むし歯リスクも高くなるので要注意です。
子どもの将来の健康リスクは、幼いうちの生活習慣で変わる?
――柳澤先生は「社会疫学」がご専門です。社会環境や経済環境、生活のあり方などが後々の健康にどれだけ影響を与えるかを追求されていますが、最近のトピックスを教えてください。
子どもの将来の健康や特定の病気へのかかりやすさは、胎児期や生後早期の環境の影響を強く受けている、という考え方に注目しています。イギリスのデイビッド・バーカー博士らが提唱している「DOHaD仮説」(※4)というものです。
次のページへ「DOHaD仮説」とは?