以前、洗足学園(神奈川県)の取材で「数学の伸ばし方も女子と男子は違う。女子に合わせた指導ができるのが利点だ」と伺ったことがあります。今や女子学院に並ぶ難関校になったのも、こうした指導の成果でしょうか。

 また、女子校には授業の一環として、茶道や華道、礼法などを取り入れている学校も多く、家庭ではなかなか経験できない教養を身につける機会として人気があります。グローバル時代に、日本文化に関する素養を身につけられるというのは、得難い機会ではないでしょうか。実際、礼法が必修だった学校の卒業生は「在学中は面倒臭いと思っていたけれど、社会人になってから役立っている」といっていました。

 ただ、「女子校だから行儀がよくなる」ということでもありません。異性の目がないだけに、共学に通う女子よりざっくばらんに育ったりもします。

 わが家の娘も女子校でしたが、在学中は心配したものです。でも、わが子だけでなく友達も皆、出るところに出たら、丁寧な振る舞いや話し方をするのを見て、こういう使い分けができるところは、女子校出身者ならではないかと、思ったものです。

 リーダーシップという点では、実は、男子校にも同じことがいえます。

 開成の元校長・柳沢先生は、男子校のメリットについて「主たる教育の担い手が母親だと、どうしても男の子に対して甘くなってしまう。今の男の子は、家庭では母親に甘やかされ、学校では女子生徒のリーダーシップのもとに置かれて脇役になりがち。男子校の場合は潜在能力を持った男の子が実力を発揮できる」と話していました。

 母親にとって、男の子は異性。扱い方がわからず戸惑う一方で、かわいくてついつい甘やかしてしまうという声も聞きます。男子校は、先生も男性の割合が高く、男子の指導に長けている人が多いので、扱いづらい思春期の男の子との向き合い方に悩んだ保護者からは「男子の指導に詳しい先生のアドバイスが心強かった」という声もありました。

 共学・男子校・女子校、いずれにしても、学校がどんな理念に基づき、教育を行っているのかを見極めるのはとても大事なことです。そのうえで、お子さんがどの環境に合いそうかを見ていきましょう。 

<中学受験>親子で勝ちとる最高の合格

中曽根陽子

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