ある男子校の出身者は「興味は違ってもお互いに気にしないし、オタク系と体育会系がふつうに学校の中で共存していた」と、話してくれました。

 おとなしい子も、ガッツのある体育会系の子も、外向的な子も、それぞれ共存できるのが男子校のいいところなのでしょう。共学だとスクールカーストの下に置かれてしまうようなちょっと変わり者タイプの子も、異性の目を気にせずに自分の好きなことに没頭できるので、特定分野で才能を発揮しやすいのかもしれません。実際、数学オリンピックなど各種の賞を受賞する学校が男子校に多いのは、こういった環境の賜物かもしれません。だからでしょうか。大学進学実績で上位に来るのは男子校が多いですね。

 一方、中学3年生くらいになると、異性を意識するようになってきて「共学に行けばよかった」と言う子もいるようです。でもガールフレンドが欲しい子は、女子校の文化祭に出かけたり、塾で知り合ってお付き合いしたり、ちゃっかり動いているようですね。

女子校 ―― リーダーシップを発揮できる

 女子校と聞くと、「おしとやかな印象」を持つかもしれませんが、どの学校も外からの印象とはうらはらに、元気で活発なタイプの生徒が多い印象です。それは、共学校なら男子が担うような力仕事的な役割はもちろんのこと、学校生活のさまざまな場面でリーダーシップを発揮する機会も多く、自然に積極性や自立心が芽生えるからでしょう。

 実際、社会に出たあとに、臆せず自分の意見を言ったり、役職についたりする人に女子校出身者が多いのも、思春期に異性の目を気にせずに自分の力を発揮する経験をしたことが大きいのではないかと思います。元々女子校は、女性の地位が今以上に低かった時代に、女性の自立を目的につくられた学校が多いので、そういう理念に基づいた教育を行っています。

 キャリア教育では、出産や子育てなど女性のライフステージを意識したものに特化できるのも女子校ならでは。キャリア形成はやはり女性と男性では違いがあるので、先輩のモデルケースを見られるのも女子校のよさかなと思います。

次のページへどんな理念に基づき、どんな教育を行っているのか
1 2 3 4