「学校に行くのが怖くてたまらない」と苦しんでいるなら、一日だけ、仮病を使ってみるのはどうでしょうか。

 仮病とはどういう状態なのか、あえて説明すると、「気分が悪い」と言って布団から出ない、それから体調の悪そうなところを探して「熱っぽい」などと訴えることです。ちゃんと言うと、うそをついて休むことです。

 子どもがそんなことしていいのかと思うかもしれません。でも、大人はほぼ全員、仮病を使ったことがあります。自分が行きたくないと思ったら、その理由がはっきりしていなくても、じゃあ今日1日だけ休む、仮病で休む、そういう選択肢があってもいいと思います。理由を説明するのは後にして、まずはいったん立ち止まって、休息をとることを提案します。

 休んで、少し気持ちが落ち着いたら、あなたが感じていることを紙に書いて、いちばん信頼できる大人に渡してみてください。親じゃなくてもかまいません。

 私自身も不登校だったころは、このまま生きていても将来がない、自分の人生は自分で終わらせたほうがいいんじゃないか……。そう思っていたときがあります。「明日、目覚めていなければいいのに」「もうこれ以上、学校に行くとか行かないとか考えたくない」――。そう思っている人がいたら、やはり「学校に行かない」選択肢もあるということを伝えたいです。

 学校だけがすべてではない。学校から離れて生きて、大人になった人もたくさんいます。思い描いた理想の人生ではないかもしれないけれど、そんなに絶望的な人生ではない。意外と悪くない人生を送っているということは、信じてもらいたいです。

(構成/AERA with Kids+編集部)

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石井志昂
石井志昂

石井志昂(いしい・しこう)/1982年東京都生まれ。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、中学2年生から不登校。フリースクールに通ったのち、NPO法人で、不登校の子どもや若者、親など400名以上に取材。現在はNPO法人を退社しジャーナリストとして活動中。著書に『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ社)『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社)。

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