ただこれは親の負担を減らすためというよりは、各家庭の経済力や教育への関心度合いで子どもに格差が出ないようにという学校側の配慮が大きいですね。持ち物や宿題などが多くあると、家庭のサポートが少なからず影響します。それもあって低学年のうちはあえて宿題は出さない小学校もあります。

 また、保育園でも学校でも、運動会や学芸会などの行事はあまりなく、親がイベントで学校に行くのは1年に1回程度です。保護者会も年に2回で平日の夜に開かれるので、日本のように「保護者会だから半休とらなきゃ」といったこともないですね。あとは三者面談も年に2回ありますが、これは午後から夕方にかけて1家族15分ほどです。

専業主婦はごくわずか みんなで子育てする社会

 基本的に母親一人に子育ての負担がかかることはなく、父親も同じくらい育児に関わります。保育園の送迎も夕食をつくるのも、ママでもパパでも、いい。そういうところでも、働き方が、日本とスウェーデンでは違うのかもしれません。

――日本でもコロナ禍を経て在宅勤務が増え、父親が送迎を担当することが増えていますが、いい傾向ですよね。スウェーデンでは周りの大人が、みんなで子育てに関わっているんですね。

 今、スウェーデンでは基本的にほとんどの家庭が男女ともに仕事を持っていて、専業主婦は15歳から64歳までの女性の約1、2%とほとんどいません。みんなが働いて、同時に、子どもを持つ家庭も多いので、育児も仕事も協力し合うのが当たり前になっている。育休の制度もしっかりしているから、子育てがしやすい。子育てがしやすいから、出生率も一時より高い傾向にあります(2021年の合計特殊出生率〈1人の女性が生涯に産む人数〉が1.67人。日本は22年に1.26人)。

社会のしくみは自分たちで変えられる

――日本では共働きであっても子育てのメインは女性という家庭がまだまだ多いと感じます。男女の家事育児の割合について、どうすればより平等にできると思いますか?

 スウェーデンには、産休と併せて「両親休業」と呼ばれる育休制度があり、子どもが12歳になるまで最長480日間取得できます。大事なのは、そのうちそれぞれ90日が、母親と父親に割り振られていて、相手に代わって取得することはできないということなんです。つまり、母親だけでなく父親もきちんと取得しないと、90日(の育休)が消えてしまうというしくみになっているんですね。

次のページへ日本は子育てに対する「意識」が低い?
前へ
2/4
次へ