直接話すこともなくなって約3年経ち、Aちゃんは高校2年生に。そんなある日、ついに長かった反抗期の終わりを感じるような出来事がありました。「大学は美大に行きたいから、予備校に行かせてください」とAちゃんがお母さんに頭を下げてきたのです。

 周りの友達と進路について考えるようになったことをきっかけに、少しずつ自分の考えを話すようになり、大学のことを相談するようにもなりました。「ああ、この子はもう大丈夫だ」とお母さんは感じたそうです。

「中1から約5年間、本当に長かった反抗期の終わりがようやく見えてきました。今になって思うことは、親の言うことを素直に聞いていた娘が変わってしまったことにイライラしたり失望したりして、口論を重ねたことは無意味だったのかもしれません」

長いトンネルを抜けて、いま思うことは

 時期が来れば反抗期は終わる、いずれ大人になるということをその時には見通すことができず、目の前の荒れた娘の姿にただただ小言をぶつけていたようだとお母さんは振り返ります。

「ただひとつ、とても良かったと思っていることは、娘には将来をともに考えるような仲間がいたことです。家でのストレスも、友達と会うことで発散しているようでしたし、何より友達に会うために学校に楽しそうに通ってくれたことに感謝しています。中学受験の志望校探しで学校見学をしたときに、『この学校がいい!』と言った娘のインスピレーションを信じて本当に良かったと思っています」と、学校選びの重要性を教えてくれました。

 中学受験をスムーズに終えたからと言って、安泰な生活が送れる保証はどこにもありません。思春期・反抗期に影響を与えるのは、親ではなくむしろ距離の近い学友や先生。ですから、幸せな10代を送るためには、学校選びが重要なカギになるといっても過言ではありません。反抗期はいずれ終わるもの。わが子が楽しそうに登校しているならば、寛容な気持ちで遠くから見守るのも手です。それが親にとっても子どもにとってもストレスの少ない反抗期の過ごし方となるようです。

(取材・文/鶴島よしみ)

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