本当の戦いは中学に入学してからすぐにやってきた!

 受験中は、大人のアドバイスにも素直に従いよく勉強もして、まったく手のかからなかったAちゃんですが、中学入学をしてからすぐに反抗期に入り、徐々に態度が変わっていきました。

 当時はコロナ禍で入学式もなく、「新しい中学生活が始まる!」というような気持ちの盛り上がりもなく、なんとなく学校生活がスタート。勉強する習慣もプツンと途切れてしまったようで、部屋を覗けばYouTube三昧。受験中にお母さんがほとんど言ったことのない「勉強しなさいよ!」を何度も言う生活になっていったのです。

 よく家族とおしゃべりをする子だったのに、口数も少なくなり、学校生活での様子もすっかりわからなくなってしまいました。

 三者面談では「提出物を期限内に出さない、遅刻も多い、成績が低迷している」といった耳の痛い話を初めて聞かされ、お母さんはAちゃんを叱らざるを得なくなりました。しかし、反抗期に突入しているAちゃんからすれば、くすぶっているイライラの火種に油を注がれるようなもの。小言を言われるたびにバトルとなり、「ママのような生き方はしたくない!!」とまで言われるように。お互いが疲弊していったと言います。

猫が親子の会話の「取り次ぎ役」に!?

 中学2年生になると、ついには、食事以外は部屋に入ったきり、必要最低限の連絡事項ですらしゃべらなくなってしまいました。コミュニケーションが途絶えてしまうことだけは避けたいと悩んだ結果、お母さんは飼っている猫(カイくん)に話すふりをして、Aちゃんに声を届ける苦肉の策を考えました。

お母さん「カイくん~、明日、Aちゃんはお弁当いるのかねぇ?」
Aちゃん「今週は毎日お弁当いる、ってこの間言ったのにね。カイくんは聞いてたよね? 誰かさんは全然人の話を聞いてないんだね、それとも記憶力が弱いのかね~?」

 といった具合に、猫を介してかろうじて、Aちゃんとつながりを保っていたといいます。

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