子どもにとって自転車は身近な乗り物で、相棒のような存在。でも、交通ルールをよく理解していなかったり、遊び半分で危険な運転をしたりする心配も……。夏休みになり、子どもが自転車で出かける機会も増えます。自転車ジャーナリストの遠藤まさ子さんに、子どもの自転車事故の傾向や注意点を聞きました。
【グラフ】要注意!子どもの自転車事故が多い時間帯はこちら「歩行者感覚のまま」で自転車に乗る子ども
――近年の子どもの自転車事故について、傾向を教えてください。
交通事故全体は年々減少しているなか、自転車事故の割合は相対的に高まってきています。自転車で公道を走ることに「何年生から」という法的な制限はありませんが、小学生は4年生以降の自転車事故の割合が高い傾向があります(グラフ1参照)。ちょうど子どもが一人で習い事に行ったり、友だち同士で遊びに出かけたりするようになる年ごろですね。
帰宅時間について「夕焼けチャイムが鳴るまでには帰っておいで」と言っている家庭も多いと思いますが、夕方16~17時は小学生の自転車による死亡・重傷事故がもっとも多い時間帯(グラフ2参照)。特に9~11月にかけては急に夕暮れが早くなり、交通事故全体が増えるので注意が必要です。
――子どもの自転車事故は、どんなことが原因になるのでしょうか?
「歩行者感覚」が抜けきらないことが事故につながる場合があります。道路交通法上、自転車は車道左側の通行が原則ですが、小学生以下は歩道の通行が認められています。周りの大人も「危ないから歩道を通りなさい」と言うことが多いですよね。その結果、歩いているときと同じような感覚で自転車を運転し、一時停止しないまま交差点に飛び出してしまうケースがとても多いのです。これが歩行者なら車が急停止して事故を免れるかもしれませんが、自転車のスピードでは間に合わないこともあります。
また、スピードの出し過ぎやジグザグ走行が原因で、歩道で歩いている人とぶつかってしまう事故も起きています。歩道はあくまでも歩行者のためのもので、自転車は徐行しなければいけません。家庭でも教えていただきたいですね。
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