麻布からも官僚が多く輩出したが、滅私奉公よりも自らの主張が強い傾向がみられる。古賀茂明(経済産業省 1974年)、前川喜平(文部科学省 1973年)など、国に逆らう言動も目立つ。すこし古いが、与謝野馨(1958年)、平沼赳夫(1958年)は、自民党を飛び出して新党を旗揚げしたことがある。

 首相経験者の橋本龍太郎(1956年)、福田康夫(1955年)は、自民党内の大派閥との戦いを余儀なくされ、政権は短命に終わった。谷垣禎一(1963年)は総理を狙える位置にありながら、自転車転倒事故で志半ばに終わる。

 開成と麻布。歴史と伝統は学校のカラーを作り上げた。いまの両校を知るならば、やはり文化祭、運動会にぜひ足を運んでほしい。開成文化、麻布文化が未来の生徒によって継承される。いや、そこには新たな文化が生まれる。

前編「開成が「東大合格者数日本一」になった3つの背景とは? 学校の歴史から読み解く」から続く

(教育ジャーナリスト・小林哲夫<敬称略>)

著者 開く閉じる
小林哲夫
教育ジャーナリスト 小林哲夫

1995年より『大学ランキング』の編集者。『筑駒の研究』(河出新書)、『学校制服とは何か その歴史と思想』 (朝日新書)、『女子学生はどう闘ってきたのか』(サイゾー)、『旧制第一中学の面目』(NHK出版新書)、『東大合格高校盛衰史』(光文社新書)、『早慶MARCH大激変 「大学序列」の最前線』(朝日新書)など、教育・社会問題についての著書多数。

1 2 3 4