保護者からの反対が一切なかった理由

――マインクラフトというゲームを授業に取り込むことに、保護者の方から反対はありませんでしたか。

 それが、一切なかったですね。理解をいただいていたのだと思いますし、そもそも〝ゲームは悪〞ではないですよね。それは〝人間は悪〞というくらい大雑把にすぎる話ですし、それに、ゲームだからこそ子どもたちにとっては気軽に取り組めます。そこが、一般的なデジタル教材とマインクラフトの大きな違いでもあります。

――今は英語だけでなく情報の授業でもマインクラフトを使っているそうですが、どんな風に進めているのですか。

 今は、三段階に分けています。第一段階は、こちらが指定したものを正確に再現しましょうというもの。「自由度ゼロ」と呼んでいる段階です。第二段階は、すでにあるものを作りかえるというもの。たとえば、以前ワークショップでタツナミさんと一緒に作った廃校の中身を自由に作りかえるようなもので、自由度で言えば50%。そして、第三段階は自由度が100%に近い、フラットな草原で設計図から始めるもの作りです。この第三段階では、今は世界遺産を作ろうということだけを決めています。

――廃校、使ってもらえているんですね。嬉しいです。廃校はいくつもあったアイデアのうちの一つだったのですが、今になって思えば、SDGsの観点も取り入れられますね。

 そうですね。京都でもかなりのペースで学校が廃校になっていて、京都国際マンガミュージアムも廃校を利活用した施設なんですね。そういったものが身近にありますし、学校を改造するって、ワクワクしますよね。

――ところで、今、なぜ授業は三段階に分けているのですか。

「今日の天気を言葉で表現してください」と言われたら困ってしまいませんか? でも「今日の天気を俳句で表現してください」なら、それならできそうだなと思いませんか? 俳句という制限があるにもかかわらず、大人はそのほうが取り組みやすいのです。子どもたちも、小学校高学年くらいになるとそうです。「自由に描いていいよ」と真っ白な画用紙を渡されてすぐに描き始められるのは、小学校低学年くらいまでなんです。なので、最終的には自由に作ってもらいますが、授業ではまずは始めやすいように、最初は制限を設けているのです。

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