なので、教室で「マインクラフト」と発したときの子どもたちのリアクションには驚きました。マインクラフトの認知度、人気をそのとき初めて知ったのです。

 そこで子どもたちに、どうしたらマインクラフトを英語の授業に取り入れられるかを考えてもらい、出てきたアイデアが「海外の子どもたちに、京都を知ってもらう」というものでした。そのアイデアが出てきて初めて、私は子どもたちが「京都には確かに外国人観光客が多いけれど、大人ばかりで子どもがほとんどいない」と感じていることを知りました。

「言葉の解像度」が上がり、自然と英語を覚える

――なるほど、何をするかも子どもたちのアイデアでスタートしたのですね。

 はい、そうでした。子どもたちはグループに分かれて、意見交換をしながら、マインクラフトで金閣寺などの名所仏跡を建築していきます。英語の授業なので、グループ内での会話は英語のみ。すると、言いたいのに言えない、聞きたいのに聞けないという状況になります。子どもたちはそこで「これを英語でなんと言うのか知りたい」「どうやったら表現できるかを知りたい」となるのです。

――自分から英語を学びたくなるんですね。

 そうです。そして、そうやって覚えた単語や表現は、なかなか忘れません。

――すると、一人でではなく、コミュニケーションが必要になるグループで建築するというのがポイントですね。

 そのとおりです。特に「これは違うかな」「こっちがいいよ」といったやりとりは、何かを作り出すためのコミュニケーションでしか発生しえないものだと私は思っていて、それを子どもたちに経験してほしいのです。一緒にもの作りをしていると、「こっち」とか「こんな」とか、普段使っているような抽象的な言葉ではコミュニケーションが成り立たないことがあります。だから、言葉の解像度を上げざるをえません。グループでもの作りをしていると、それが自然にできるようになるのです。

 マインクラフトというと、プログラミングや回路などが注目されがちですが、私はコミュニケーションのきっかけとして捉えています

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