都内で中学受験塾「應修会」を主宰する茂山起龍(きりゅう)さんのAERA with Kids+連載「中学受験、その先に」。今回は、YouTube「数学・英語のトリセツ!」が登録者22万人と人気で、河合塾などで数学講師を務める迫田昂輝さんと対談。中学受験と英語の勉強の両立についてや、海外大学への進学について対談しました。
【過去問】慶應普通部で「解答用紙のイラストがかわいい」と話題になった入試問題はこちら中学受験で英語を重視する学校、しない学校があるのはなぜ?
――現段階は、一部の私立中学のみが受験において英語による加点・優遇をおこなっています。入学時の英語力を重視する学校と、しない学校があるのはなぜだと思いますか。
茂山起龍(以下、茂山) 入学時の英語力に重きを置かない学校には、「英語は中学から取り組めば十分に結果を出せる科目である」という認識があるのかもしれません。
先日、広尾学園のインターナショナルコースに見学に行き、驚いたことがあります。同校のインターナショナルコースは、すでに英語力のある生徒からなるアドバンストグループ(AG)と、入学時に英語力の問われないスタンダードグループ(SG)に分かれており、それぞれ半数ずつで一つのクラスが編成されています。ホームルームや一部の授業を英語で受け続けていると、SGのなかにも中3で英検準1級を取得する生徒や、友人同士で英語で会話したりする生徒も出てくるそうです。
迫田昂輝(以下、迫田) それは面白いですね。学校側の英語教育の本気度と細やかな気配りが伝わりますね。
茂山 小学校時代に英語塾などで意識的に英語を習っていなかったとしても、そうした環境に身を置けば、ある程度のレベルまで取得できる、という一つのモデルケースだと感じました。
英語の勉強と中学受験の両立は、可能?
――将来の可能性を狭めないために英語に意欲的に取り組みつつ、中学受験勉強にも力を注ぐ。二つを両立させることは可能だと思いますか。
迫田 可能だと思いますが、そのためには保護者や受験業界自体が意識を変えないと難しいだろうな、とは思います。中学入試は単なる手段なのに、目的化してしまって「偏差値」や「点数」ばかりを気にする風潮があまりにも強いからです。
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