海外大学への進学は、今後どうなる?

――茂山先生の教え子のなかには、大学卒業後に米国の大学院に進んだ生徒もいます。海外の大学を目指すケースは増えていますか。

茂山 石油関連の仕事に就きたいと考えていた彼は、「米国でしか学べない分野について究めたい」と日本を飛び出しました。目的がはっきりしているので、すごくいいな、と感じました。海外の大学に進む場合、「なぜ学ぶのか」「目的は何なのか」が重要になる。漠然と「海外の大学に行きたいな」ではなく、学士なのか、修士まで目指すのかといったところまで含め、何を重視したいのか考えるべきなのかな、と。

迫田 語学を「手段」ととらえるのか、学ぶこと自体を「目的」としてしまうかの違いですね。「なぜ海外の大学でなければいけないのか」の質問に答えられない人って、意外と多いなと感じます。確かに、「世界大学ランキング」で日本の大学は上位にランクインできていない、といった類のニュースはたびたび目にしますから、「海外大学のほうが日本の大学よりも優れている」といった印象は持ちやすいのかもしれません。

 ですが、「世界で何位か」自体は重要でないですよね。自分がそこで何を学び、その学校を好きになれたのか、社会人になってからどれだけ思い出が残っているかにこそ価値がある。「手段」と「目的」を履き違えてほしくないなと思います。

茂山 学校側も、やみくもに「海外大への進学を目指そう」と力を入れすぎるのもちょっと違うな、と。「この生徒の学びたいことを考えると、国内のこの大学に進んだほうがいい」「こういう分野で勉強をしていきたいのなら、この国のこの大学がいい」といったように、一人ひとりにあった提案をしていくのが理想ですし、学校のなかでそうした文化が育っていくといいな、とも思います。

(聞き手/古谷ゆう子)

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茂山起龍
中学受験塾「應修会」塾長 茂山起龍

しげやま・きりゅう/1986年生まれ。中学受験を経験し、大学附属校に入学。大学在学中から個別指導塾、大手進学塾などで中学受験指導に携わる。会社経営の傍ら、2011年、東京・西葛西に中学受験指導塾「應修会」を開校。自らも教壇に立って指導を行う。中学2年、小学6年の男子の父。X(旧Twitter)での中学受験についての発信も人気で、フォロワーは1万人を超える。X: @kiryushigeyama

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