「点数化」することで英語が嫌いになってしまう?

迫田 まったくもって、同じ意見ですね。デメリットとして僕が思うことを一つ付け加えるとすれば、英語を「点数化」することによる弊害が大きいということ。英語って、仮に文法が正しくなかったとしても、ある程度の語彙(ごい)と意欲があれば相手に通じてしまうんですよね。例えば「I LOVE YOU」が文法的には正しいけれど、「I YOU LOVE」でも身振り手振りをつければ十分通じるわけです。でも、テストだと後者は文法が間違っているので「0点」になってしまう。それによって、苦手意識や嫌いになってしまう子も出てきてしまうかもしれません。

 幼いうちから外国語を学ぶことの良さは、さまざまな文化を知り、多様な人々とコミュニケーションを取れることにある。音の感覚を身につけることも大事ですが、知らない文化を学ぶためのツールとして英語があると思うので、点数化することにより、そうした楽しさが奪われてしまうのではないか、点数を取ることが目的に変わってしまうのでは、というデメリットは感じています。

茂山 そうですね。その意見には賛成です。「中学受験対策のカリキュラム」として体系化されることで、言語を学ぶ楽しさが感じられなくなってしまうのは、もったいない。

迫田 一方で、大学受験では文系・理系問わず、英語の試験からは逃げられないという現実もあります。「中高一貫校から大学入試の一般選抜を目指す」という前提で言えば、中学入試のうちから英語を勉強しておくことは、大学受験のためのスタートダッシュを周りより早めに切ることができます。いずれ英語に向き合わなければいけないことを考えると、中学受験の段階で英語を勉強しておくことはメリットだと思います。

 学校側としても、大学入試の合格実績を考えると、英語を得意とする生徒を選抜したい、と考えると思います。そういうことまで考慮すると、英語入試の導入を考える学校が増えていてもおかしくはない、という気はしています。

(構成/古谷ゆう子)

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茂山起龍
中学受験塾「應修会」塾長 茂山起龍

しげやま・きりゅう/1986年生まれ。中学受験を経験し、大学附属校に入学。大学在学中から個別指導塾、大手進学塾などで中学受験指導に携わる。会社経営の傍ら、2011年、東京・西葛西に中学受験指導塾「應修会」を開校。自らも教壇に立って指導を行う。中学2年、小学6年の男子の父。X(旧Twitter)での中学受験についての発信も人気で、フォロワーは1万人を超える。X: @kiryushigeyama

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