私立と都立、同時対策は可能?

矢萩:塾がそう言っていることをそのまま受け入れている可能性はありますね。希望する都立はどんなアドミッションポリシーがあって、どういう入試問題なのか、というのが全く分析されていない感じがします。そもそも適性検査は対策するものではなく、「適性を見るもの」という大前提があります。とはいえ、求められている問題を解くためには根本的な力が必要という点では私立も都立もそれほど変わらないので、同時対策は十分可能だと思います。知識量が多く必要だとか、少なくていいとか、書かされる文章量が多いとか少ないとか、細かい差異はありますが、どちらにしても基礎学力がないと難しいです。息子さんの場合、基礎はしっかりできているのか、四則演算もままならない状態での悩みなのかで、全然話は違ってきますね。

安浪:都立の中高一貫のみを受験するご家庭でやや気になるのは、「都立ならワンチャンいけるかも?」といった感じで受験を考えているご家庭が一定数いることですね。中学受験に対する認識が甘いというか。たしかに昔は本当に実力がある子が過去問を何回かやってサラッと合格することはありましたが、今はそれなりに勉強しないと、よほど資質がある子は別として、難しいと感じています。

矢萩:そういう意味では私立の4科受験対策をしっかりやっているなら、適性検査は作文ができれば対応できたりします。逆に、適性検査の対策だけしていても、私立の4科受験は難しいですね。特に理社の知識量が教科書を超えているので。ただし2科受験であればうちの生徒はそれほど問題なく両立していますね。

安浪:うーん、でも算数は難しいですね。作文って対策すればみんなそこそこ取れたりします。作文はある程度型が決まっているので。どの都立も、結局は算数で合否が決まるという話を聞いたこともあります。だから圧倒的に私立組の方が強いのは事実です。あとはメンタル的なことですね。学校で成績もいいし、内申もいい、というような子は確かに自己肯定感が高くて公立中高一貫校に向いています。ただ、本格的な作文添削が始まって、何度も添削されて書き直しになると、そこで心が折れちゃって筆が進まなくなる子もいるようです。自分が否定されているように感じるみたいですね。

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