おすすめポイント

「さかなには なぜしたがない」では、ウーフが風に吹かれる木になりたいと思ったり、やっぱりハチミツをなめたいからミツバチがいいと思ったり。川ではフナに「どうしたら魚になれるの」と聞きます。“もしも木に、ミツバチに、魚になったら”と空想するのは幼い子どもそのもの。井上洋介さんの伸びやかな線の絵がすばらしく、幼かったころの自分とつながるような感覚を味わえます。

「魚になりたけりゃ、そのけむくじゃらな手と足をすてちゃいな」とフナに言われたウーフ。おまけに、裸で川の底に座り、目をつぶらず、舌をひっこぬかなきゃと言われてびっくり。フナがパカっと口を開けると、口の中は空っぽで、ウーフは飛び上がって家へ逃げ帰ります。身体の違いへの驚きがあざやかです。

くまの子ウーフのおはなし(1)『さかなにはなぜしたがない』(神沢利子 作/井上洋介 絵/ポプラ社 刊)

 「ぶつぶついうの だあれ」では、ウーフが雨上がりにぶくぶく泡をふくカニに会い、どろんこ道にぺたんぺたんと足がひっつくのをおもしろがっていたら、転んで泥まみれに。お風呂場できれいになった後、ホットケーキがフライパンの上でぶつぶつ音をたてるのを眺めます。ぶくぶく、ぺたんぺたん、ぶつぶつ……。

 五感をめいっぱい研ぎ澄ませ、おもしろいことを発見するウーフ。生きることの楽しさが伝わってきます。

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