幼少期に絵本はたくさん読んでくれたけど、絵本の次のステップにはどんな本がいいんだろう?――。そんな悩みを抱えるママ・パパに向けて、幼年童話を中心に、絵本から読みものへの橋渡しとなるおすすめの一冊を紹介します。

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あらすじ

 アッチは、レストランの屋根裏に住む、小さなおばけの男の子。自分ではこわーいおばけのつもりですが、となりの部屋に引っ越してきた、ねずみの双子のきょうだいは、アッチをちっともこわがりません。夜、アッチのうちにしのびこみ、寝ているアッチの足をくすぐったりお腹をたたいたり、いたずらし放題。アッチが怒って「おばけだぞ~~うい」とおどかしても効果がありません。

 仲良しの女の子エッちゃんや野良猫のボンに「おもちみたい」「かわいい」と言われて落ち込むアッチ。おばけらしいこわい顔になるため、辛い辛いカレーを作って食べることにしますが……。

 1979年に『スパゲッティがたべたいよう』でスタートした「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけシリーズ」の一冊。くいしんぼうなおばけアッチ、とこ屋さんに住むおしゃれなおばけコッチ、あめ屋さんにいる歌の好きなおばけソッチの3人がかわるがわる登場する、幼年童話のロングセラーです。

『カレーライスはこわいぞ』(ポプラ社より)

おすすめポイント 

 子どものねずみたちにばかにされ、悔しくて泣いてしまうおばけのアッチがかわいい。タイトルで「なんでカレーライスがこわいのかな」と不思議に思う子も、読めばその理由がわかります! カレー粉をたっぷり使ったカレーを「おーっ、からい、からい」と食べるうちに、アッチの口はとんがって、毛は逆立って……。こわーい顔になるまでのアッチの変化がユーモラスに描かれます。

 レストランに住むおばけだけあって、料理上手なアッチの作るカレーは本格的。「♪おなべにバター こむぎこ カレーこ」「♪にんじんさんかく じゃがいもしかく たまねぎみかづき」と歌うシーンも楽しいですよ。どどっとカレー粉を入れる場面は、絵全体も黄色く、想像しただけで「うわぁ、からそう!」とぶるっと震えてしまいそう。

 おばけらしい顔になり、「しめしめ、あのねずみたちを“ぺしゃんこのぺしゃ”にしてやるぞ」とアッチは思うけれど、自分もさんざんな目にあいます……。最後は「こわくないアッチ」に逆もどり。双子のねずみをこわがらせるより、仲良くなる方法をちゃんと見つけることができます。みんな笑顔で終わるお話です。

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大和田佳世
ライター 大和田佳世

絵本・児童書のライター。出版社勤務を経て2009年よりフリーランスに。絵本・児童書情報サイト「絵本ナビ」や朝日新聞社が運営する本の情報サイト「好書好日(こうしょこうじつ)」などの他、雑誌「MOE」、出版社の各Webメディアで執筆。作家、翻訳家へのインタビュー多数。子どもは小中高の3人。

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