小学生の間にもメイクが広がっています。しかし子どもの肌トラブルに詳しい皮膚科医の岡村理栄子先生は「子どもは化粧かぶれが起きやすいだけでなく、将来に影響をおよぼすこともある」と警鐘を鳴らします。メイクをしたがる子どもに、親はどう接すればよいのでしょうか? 岡村先生に聞きました。

MENU メイクの適正年齢は17歳から 小学生の肌には「時期尚早」 親も子も「正しい知識を持つこと」が大事

メイクの適正年齢は17歳から 小学生の肌には「時期尚早」

――小学生はメイクをしないほうがいいのでしょうか?

 皮膚科医の立場からするとメイクはできればしないほうがいいです。理由は大きく三つあります。一つ目は、成長途上の子どもの肌は大人よりも薄くデリケートなので、化粧かぶれなどのトラブルが起きやすいこと。二つ目は肌や化粧品に関する知識が乏しいこと。間違った使い方をして肌トラブルを引き起こしたり、肌トラブルが起きたときに適切な対処ができず、悪化させたりする危険があります。そして三つ目は、早い時期からメイクを始めることで将来に悪影響を及ぼす可能性があるためです。

――早くからメイクを始めることが、将来にどう影響するのでしょうか?

 化粧品かぶれ(=接触性皮膚炎)のうち、「刺激性接触皮膚炎」は酸などの刺激の強い物質が肌に触れることで炎症が起きます。一方、「アレルギー性接触皮膚炎」は、体の内部に侵入してきた化学物質が異物とみなされると、免疫機能が働いて、それを排除しようとするアレルギー反応が起こります。これを「感作(かんさ)」といい、感作が成立してしまうとその後は原因物質(=アレルゲン)が肌に触れるたびにアレルギー反応が起こり、かぶれるようになります。つまりその化粧品はもう使えなくなってしまうんですね。

 感作は、皮膚が未発達な子どものころに化学物質に触れると起きやすい。皮膚が完成すれば同じように化学物質に触れても起きにくくなります。感作が起きにくくなる年齢から化粧品を使い始めれば、一生かぶれずに済む可能性が高くなるのです。

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熊谷わこ
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