新観点は振り返りシートや発表活動を評価

  それでは「主体的に学習に取り組む態度」ではどのようなものが評価されるのでしょうか。東京都内の公立中学校で公表されている評価基準を分析すると、次の四つに集約されます。

□(問題集やレポートなどの)提出物

□振り返りシート(自己評価シート、ワークシートなど)

□発表活動

□定期テスト

  一つ目は提出物です。提出物を期限内に出すことが大切です。これは旧観点から変わりません。二つ目は振り返りシートです。学校によっては自己評価シートなどとも呼ばれます。授業の終わりに生徒が「何を学んだのか」や「新しい発見や疑問点」を簡単に記述します。振り返りシートによって、生徒がその授業を受けて何を学んだのかが可視化されます。先生側はこのシートの記述を見て、普段の授業への参加具合を確認します。国語のような授業では、ワークシートといって、授業の終わりではなく、授業中に考えた思考を書きながら進める形式の場合もあります。三つ目は発表活動です。文部科学省のGIGAスクール構想に基づき、すべての公立中学校で1人1台のタブレット端末が配布されています。品川区立の中学校を授業見学した際は、全員がタブレット端末を自由自在に操り、探究活動の一環としてプレゼンの準備をしていました。タブレット端末によるプレゼン資料の作成と発表は、今や公立中学校では当たり前の光景です。発表活動は、英語ではパフォーマンステストという形式を取ります。東京都教育委員会が示した英語のパフォーマンステストの題材例はこのようなものです。

・中1……自己紹介

・中2……電話のやりとり、および東京の見どころ紹介

・中3……日本文化紹介

  四つ目は定期テストです。旧観点では、定期テストが高得点であっても、「関心・意欲・態度」が低評価を受けることがありました。これに対して「定期テストの点数が高い生徒は教科への関心や意欲は高いはずで、低評価を受けるのはおかしいのではないか」との指摘があり、改められました。新観点においては、定期テストや小テストの結果も「主体的に学習に取り組む態度」の評価基準に取り入れられています。つまり、定期テストの点数との連動性が増したということです。

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