「内申インフレ」の功罪

  相対評価を受けた世代の評定のイメージは次のようなものです。

5 → 優秀  4 → 少し優秀  3 → 普通  2 → 学力に不安あり

  しかし、現在の評定のイメージは次のようになります。

5 → 優秀~少し優秀 4 → 普通 3 → 学力に不安あり 2 → 学力にかなり不安あり

  内申インフレの影響で、保護者と塾講師の間で、評定の認識に溝ができています。内申インフレの恩恵は、上位校を目指す受験生が受けています。高い評価を得る受験生が増加したことで、難関高校を目指す動機づけとなり、より高い目標を持つ受験生が増えました。難関高校を目指す受験生にとってはプラス要素になっています。しかし、この内申インフレは塾側にとって、必ずしも歓迎できるものではありません。学力下位層の生徒とその保護者が、危機感を抱きづらくなってしまったからです。現行の「オール3」は、学力的には平均を下回る状況です。ところが、保護者は相対評価時代のイメージがあるので、真ん中ぐらいの学力はあるだろうと錯覚してしまいます。中学3年生で模試を受けて、その現実を知り、慌てふためくことになります。

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