親子関係や家族関係の問題によって、子どもが十分な愛情を感じられないまま育つと、成長や発達の遅れや停滞が起こることがあります。専門的には「愛情遮断(しゃだん)症候群」と呼ばれています。
「愛情遮断症候群」の子どもたちは、施設入所などにより保護された後は成長ホルモンが正常に分泌されるようになることが確認されています。極端な例を挙げて説明しましたが、子どもの成長には親の愛情や安心して眠れる環境が欠かせないことを示唆しています。つまり、骨の成長、身長を伸ばすことにとっては十分な睡眠時間とともに、質のいい睡眠が大事なのです。
Q.子どもにとって理想的な睡眠時間を教えてください。
厚生労働省はさまざまな研究データをもとに、健康に必要な睡眠時間として、1~2歳児は11~14時間、3~5歳児は10~13時間、小学生で9~12時間、中学・高校生では8~10時間を推奨しています。
「ずいぶん、長いな」と思われるでしょうが、日本は、先進国の中でも極端に睡眠時間が短く、日ごろの睡眠時間では大幅に不足しています。これだけの睡眠時間を今日から確保するのは難しいかもしれませんが、就寝前の長時間のゲームやSNSを避けたり朝日を浴びるなどの生活習慣を身につけたりすることも含めて、できるだけ理想に近づけてほしいと思います。
(取材・文/狩生聖子)
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