逆にいえば、背が低くなる遺伝子を持つ子も、生活環境を整えることで、伸びる能力を十分発揮させられるといえるのです。
例えば大リーグの大谷翔平選手の体格はとても恵まれたものですが、例外的ともいえる遺伝的な要素に加え、ご家族や本人の生活環境面の努力もあったのだろうと思います。親御さんには子どもが持っている成長の可能性を存分に発揮できるように、生活環境を整えてあげてほしいと思います。
Q.栄養はどのくらい大事ですか。子どもが小食の場合はどうすればいいでしょう?
栄養はとても大切です。特に、小学校入学前までの子どもの身長などからだの成長には、成長ホルモンよりも、栄養の影響が大きいと言えるほどです。この時期に、「身長が低い」と言って外来を受診されるお子さんは、ほとんどと言っていいくらい小食です。
身長が伸びるためには骨の成長が必要なので、食べる量が足りなければ、その影響が表れます。ただし、小食の子どもは食べられるものがとても限られていたり、食べることに興味がなかったりすることも多いので、無理やり食べさせることは難しいことも理解できます。
アドバイスとしては、【楽しく食べる】を目標にすることです。家族で食卓を囲み、お父さんやお母さんが、2人で「これおいしいね~」と楽しそうに食べていると、子どもも興味を示してくれます。食事の量が増えてくると、身長は順調に伸びるようになっていきます。
Q.背が伸びる食べ物はありますか?
全ての栄養素が重要ですが、骨や筋肉の成長に欠かせない栄養素として不足しがちなのは、「たんぱく質」です。このほか、カルシウム、亜鉛、ビタミンDなどのミネラルやビタミンも大事。これらがバランスよく含まれる肉や魚、卵などをしっかり食べてください。
栄養素は単にどれか一つが大切なのではなく、それぞれが合わさって働くことによって、からだが作られます。一つの食品、栄養素だけを大量に取っても、その効果は残念ながら期待できません。バランスよく食べることが大事といわれるのは、このためです。
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