自分で立てた小さな目標をやり遂げよう
みんなと同じ年のころ、僕は、平日は「公文式」に通い、週末は野球に打ち込み、ただ楽しく過ごしていました。算数の計算が得意で、家には本や学習マンガがたくさんあって、読書が習慣になっていたので、そのころは勉強で苦労したことはありません。でも中学校にあがると壁にぶつかりました。数学の空間図形と証明問題がまったく解けず、苦手科目になってしまったのです。なんとか克服しようと、高校受験のときには、数学の単元ごとの薄い問題集を何度も解きました。薄いものなら、最後までやり遂げ、達成感を味わいながら続けることができますからね。
早稲田大学をめざして浪人したときは、自分の性格を考えて、どうしたら1年間の受験期間を乗り越えられるか作戦を立てました。このときの「自分で立てた目標を自分でクリアする」という経験は、「やればできる」という自信につながりました。みんなもまずは「小さな目標を立てて、やりとげる」という経験をたくさん積んでほしいと思います。
受験用に鍛えた筋肉は、次の道に進むための筋肉
自分が挑戦していることを自転車に乗っていると想像してみてください。みんなは今「中学受験」という自転車に乗っている。前に進むために一生懸命その自転車をこいでいる。「受験」という目的地に着いたときには、その結果にかかわらず、みんなの足にしっかり筋肉がついているはずです。足の筋肉がつけば、次の目標ができて自転車を乗り換えても、また前へ前へとこぎ進めることができますよね。
僕の場合、少年野球で鍛えた経験や、高校・大学受験で勉強を頑張った体験は、今、しっかりとした筋肉となって人生を支えてくれています。だから中学受験に挑むみなさんも、結果ではなく、自分が努力して身につけた力を、愛してほしいし、信じてほしいな、と思います。
(取材・文/笹原依子)
朝日新聞出版
小島 よしお