年収600万未満の夫婦の子ども保有率が“激減”

―――先日発表された23年の出生数は75万8631人。8年連続で過去最少です。

 日本の少子化の根本の原因は、経済的に余裕がなく、結婚も出産も子育ても難しい人が増えていることです。厚生労働省の「国民生活基礎調査」で2010年と2020年の値を比較してみると、20代・30代の年収600万円以上の夫婦世帯では、子どものいる世帯の割合はほぼ変わっていません。

 一方で、20代・30代の年収600万円未満の夫婦世帯の子ども保有率は、マイナス15%近く劇的に下がっています。以前は、普通に子育てができていた年収600万円未満の夫婦世帯が、ちゃんと子どもを産み育てられるような社会環境にしなければなりません。

―――婚姻数と出生数を増やすような政策が先だということですね。

 経済的理由で結婚や子育てが困難な若者への対応が急務なのに、そこにまで負担を強いるとなると、大幅な出生数の改善は見込めないでしょう。異次元の少子化対策ではなく、ややもすれば、「少子化促進策」になりかねません。

(聞き手/永野原梨香)

永濱利廣さん
小学校~大学までの教育費のめやす/「AERA with Kids2023年冬号」より
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永野原梨香
永野原梨香

ながのはら・りか/『週刊エコノミスト』、『AERA』『週刊朝日』などに勤務し、現在、フリーライター。識者インタビューのほか、マネーや子育てをテーマに執筆中。

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