自身も中学受験生の父親

――茂山先生自身も、中学受験生の父です。

 僕には2人の息子がいて、長男は2023年に中学受験を終え、次男は25年に受験予定です。長男の受験のとき、塾で多くの生徒を見ている立場だから、父としてもうまく立ち回れたかというと……、そうではありませんでした(笑)。

 わが家の場合、僕と妻が塾講師、息子たちは生徒であるため、彼らにとっては家にも塾にも親がいる状態です。僕も、子どもの塾での様子を知ってしまっているぶん、できるであろうことが終わっていなければストレスは募る一方。想定していたほど勉強が進んでいないと、厳しく叱ってしまったこともありました。受験生の親御さんの気持ちを初めて理解できた気がします。

 受験勉強に並走している間は、親としていろいろ考えさせられました。子どもを育てるなかで、その子の良い面やできている部分をずっと見てきた親が、いやが応でも子どもの「できない」部分に向き合わなければいけないタイミングもやってくる。それまで知ることもなかった、子どものズルい部分が見えてくることもあるでしょう。それらに一度向き合わなければ前に進めないのが中学受験です。

「中学受験、その先に」という連載がスタート!

――連載タイトルにはどんな思いが込められていますか。

 中学受験は、親子にとって大きなイベント。その後の親子の関係を考えていくうえでも一つのターニングポイントとなります。僕の目を通して見えた生徒とその親御さんの関係などを紹介しながら、「その後はこんなふうに人生を歩んでいるよ」といったエピソードを紹介したいと思っています。

 大人はつい「中学受験は一つの通過点に過ぎないし、大したことないよ」と言ってしまいがちです。しかし、子どもたちにとっては中学受験をすると決めた日から一途に目指してきたゴールであり、一つの区切りであることは間違いありません。一度結果を受け入れないと、前には進めない。本連載タイトル「中学受験、その先に」の読点「、」にはそんな思いを込めました。

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