親が先回りしすぎるのは、子どもに失礼

ーー親としては、「早期診断、早期心配」に陥らないようにしないといけないということですね。考えるのは、子どもの困難が見えてきてからでいいと。

高橋氏:小学校に上がるタイミングが、1つのポイントになります。環境を整えるという意味で、「特別支援学校」や「支援学級」、「通級による指導」(*3)を考えてもいい。でもそれは、2歳、3歳で考えることじゃないんです。

 あまり心配が過ぎると、かえって子どもの成長を阻害することがあります。お受験の教室にお子さんを通わせているお母さんが、授業に集中していないと注意された、という理由で来院されたりするんです。「この子はADHDではないですか」「よく効く薬があるそうですね」と。確かに癇癪(かんしゃく)が強めのお子さんでしたが、話を聞くと、連日、塾や習い事のスケジュールで埋まっているんです。それではお子さんも参ってしまうでしょう。

ーーそこまでいくと、親が別の病気をつくっちゃいそうな気がして心配ですね。

高橋氏:教育への過度な期待と焦りに、親は気を付けなければなりません。よけいな介入などしなくても、そのまますくすく育つ子のほうが圧倒的に多いのですから。早期教育をするのはいいのですが、「いい学校に入れて、いい人生を歩ませる」といったふうに親が先回りして責任を果たそうとするのは、一人の人間である子どもに対して失礼だと僕は思います。

※『発達障害大全 「脳の個性」について知りたいことすべて』(日経BP)より一部抜粋

【前編】〈子どもの発達障害は、親からどのくらい遺伝する? 小児科医が親に伝えたい「最適な環境」のつくりかた〉から続く。

発達障害大全 ― 「脳の個性」について知りたいことすべて

黒坂 真由子

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黒坂真由子
黒坂真由子

編集者・ライター。埼玉県川越市生まれ。中央大学を卒業後、東京学参、中経出版、IBCパブリッシングをへて、フリーランスに。ビジネス、子育て、語学などの書籍を手掛ける傍ら、教育系の記事を執筆。絵本作家せなけいこ氏の編集担当も務める。

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