中学校に入り、英語についていけなくなる子が増えています。成績の二極化が進み、しかも下位グループのほうが多いといわれる現状があるとか。原因はどこにあるのでしょうか。子育て・教育情報誌「AERA with Kids」(朝日新聞出版)からお届けします。

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中学英語は小学校と違い、「読む」学び方にシフト

 小学校から始めたら、英語力や経験値は上がるはず。それなのに中学校で多くの子どもたちが英語につまずき、諦めてしまう現状があります。スタディサプリ英語講師の関正生先生はこう言います。

「小学校英語から中学校英語へ、滑らかにつながっているように思っている方が多いのですが、実はそうではありません。実際には『算数』が『数学』に変わるくらい、内容は劇的に変わります」

 コミュニケーション中心の小学校英語に対し、中学校で必要とされるのは高校受験につながる「読む力」。Happy Birthday!は言えても、書けないまま中学校へ入学し、教科書が読めない子も多いといいます。

「単語もネックです。中学校では急につづりの正確性が求められ、それがきっかけで英語が嫌いになることもあります」(関先生)

 実は、小学校で出てきた約700語は「既習」として扱われるため、中学校では時間をさくことができなくなります。これも問題の一つ。

「『読む』中心の英語になるのは、高校受験から逆算した手法だから。でも英語力全体で考えると、読む力を伸ばすことはとても大事なこと。はじめは戸惑うかもしれませんが、中1の夏休みに『読む』学び方にしっかり乗って復習すればそんなに心配しなくても大丈夫だと思います」

 まずは親が「小学校英語と中学校英語は別物」と認識することが必要となりそうです。

中学英語でつまずきがちな4つの要因とは

1)思っているより、難しい単語が増えている

 親の世代との大きな違いは、小学校で扱った約700語の単語が、中1の教科書では「既習」とされること。小学校ではつづりの定着を強く求めないため、知識不足のまま単語も本文の量も激増した教科書を使うことになる。

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黒坂真由子
黒坂真由子

編集者・ライター。中央大学を卒業後、出版社勤務をへて、フリーランスに。主に教育や子育ての記事を執筆。絵本作家せなけいこ氏の編集担当も務める。日経ビジネス電子版にて「もっと教えて! 発達障害のリアル」を連載。著書に『発達障害大全』(日経BP)などがある

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