■○と×には必ず「あいだ」がある

矢萩:まずはマルとバツには必ずあいだがあることを感じられる体験をしてほしいですね。バツだったけれど、さっきよりもマルに近づいたと実感したりとか。単純にマルかバツかで判断されて、「バツなんだからもう一度やりなさい」とお母さんに言われたら、そりゃあ嫌ですよ。

安浪:もし私がこのご家庭に指導に入ったとしたら、マルだけつけて、マルのついていないところはプイっとそっぽを向くようなら、正解したものをどうやって考えたか教えてって聞いて、気持ちよく解説させておしまいにしますね。問題を解くことが楽しいと思わせる。まずはそこからかなって思います。間違えた問題を今すぐできるようになる必要は全くないと思うんです。この後、4年、5年、6年で何度も出てくるわけですから。

矢萩:そうですね。問題を解くことと説明できることってまた違うスキルですし、説明することによって理解が深くなってより定着します。

安浪:教え子に「この問題、正解したなんてすごいじゃない!どうやって解いたか教えてよ」って言うとものすごくうれしそうに解説してくれます。その時に「〇〇の法則(〇〇は子どもの名前が入る)と名付けよう」なんて言うと、もう大喜びです(笑)。

(構成/教育エディター・江口祐子)

著者 開く閉じる
安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

2 3 4