読書感想文を書く上で、本選びはとても重要です。これまでに1500人以上の子どもたちを見てきた脚本家、舞台演出家の篠原明夫さんに、選び方のコツを教えてもらいました。現在発売中の「AERA with Kids 2023年夏号」(朝日新聞出版)から抜粋してご紹介します。
【図版】読書感想文、子どもの感想を引き出す6つの質問とは?* * *
子どもたちが自分らしい読書感想文を書くためには、本選びから自身で行うことが肝心、と篠原さんは言います。
「学校の推薦図書に選ばれている本であっても、その子にとって普段の興味や関心とかけ離れていると、感想文は書きづらいかもしれません」
まずは、書店や図書館に行って、自分で本を選ぶところから。
「主人公など登場人物に、自分と似ているところがある本はおすすめ。共感を持ったり、自分の体験と比べたりすることで、感想文は書きやすくなります」
親が数冊選ぶときも、つい名作や難しめの本を手にとりがちですが、テーマや登場人物の年齢は等身大のわが子にあっていると思えるものがベストです。
「主人公の一生を描いた物語や、主人公が複数いる群像劇、短くまとめられた名作集も、感想が書きづらいことがあります。よほど本人が読みたいと言うなら、感想文とは別に、読書として楽しむほうがいいのではないでしょうか」
まずは子ども自身が選び、その理由を聞きながら、感想文を書けるか、一緒に話してみてください。
■本の選び方のコツ
1)子ども自身が選ぶ
読書習慣のない子は、本選びから悩むもの。ただ、親が勝手に選ぶと、結局本に興味を持てず、うまく書けません。自分で選べないときは、3冊ほど提案してその中から選ばせるのも◎。以前読んだ本でもOKです。「自分で選んで書く」体験は、読書習慣にもつながります。
2)登場人物と似ているところがある
「主人公が同じ4年生で、妹がいるところも同じ」「お母さんにいつも怒られているところが似ている」など登場人物に共通点がある本を選ぶと、感想文はぐっと書きやすくなります。気持ちに共感でき、主人公と自分の行動を比べやすい本を選ぶことがポイント。逆に、壮大すぎる歴史ストーリーや難しい謎解きミステリーは、楽しく読めても、感想文には不向きの場合があります。
3)好きなことが書かれている
読書に関心の低い子は、特に自分の興味・関心が本の主題として描かれている物語を選ぶといいでしょう。例えば運動をしているなら、そのスポーツについて、宇宙が好きなら宇宙飛行士の話、生き物が好きなら動物物語、など「好きなこと」に通じる本を選ぶと、書きやすいはずです。
※「AERA with Kids 2023年夏号」(朝日新聞出版)から抜粋。
(取材・文 玉居子泰子)
朝日新聞出版