小説を読んだり、映画を見たりするとき、カンペキな主人公に共感したり感動したりするかな? 苦しいことがあっても乗り越える姿に感動したり、なかなかうまくいかずにもがく姿に共感したりしない? 物語のとっかかりとして、「人気者で何でもできる自分」を主人公にするのはいいと思う。だけど、人気者なだけじゃ物語を進める上で物足りなくなってくるかもしれないよ。

 要は、君の考える人気者を空想の中だけにとどめないで、現実までおろしてきて、人気者のディテールをつめていくんだ。そうすると、「かっこよくて優しくて……あれ、でもそれだけで人気者になれるのかな?」とか、いつも思い描いている理想の自分とは違う一面が見えてきそうじゃない?

 言葉にしたら、「あれ? なんか違ったな」って思うことって実はよくあること。よしおも、ひらめいたときは面白いと思っていたネタが、実際に声に出して動きをつけたら全然面白くなかったってことはよくあるからね(笑)。

■悪いことも空想してみよう!

「生まれながらIQが高い人たちや、親の転勤で海外へ転校したりする環境の人たちがうらやましい」っていうけど、その人たちのディテールも考えてみると違った一面が見えてくるかも。

 生まれながらにIQが高い人たちのことを最近は「ギフテッド」と呼んで、「ギフテッド教育」っていうものもできているけど、それによってIQの高い人たちの苦しさも見えてくるようになった。周りの人と話が合わないとか、学校の授業に全然興味が持てないとか。

 親の転勤で海外へ転校する人も、「長い付き合いの友人ができない」とか、別の悩みがあるかも。ここは試しに空想じゃなくて、IQが高い人や親の海外転勤が多い人の実態を調べてみるのはどうだろう。調べたら、「うらやましい」じゃない一面も見えてくるんじゃないかな?

「隣の芝生は青く見える」って言葉のように、自分と環境の違う人って、なんだかうらやましく思えるよね。その気持ちはものすごくわかるけど、「うらやましいな」って思う人たちの実態を調べることで、逆に「いまの自分もけっこういいじゃん」って肯定的に思うこともできるんじゃないかな。

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