■目で追いかけてページをめくる本の魅力
じゃあなんで本を読むとそんなに充実感があるのか、考えてみた。まずは、紙の本と電子書籍の違い。電子書籍は、スマホやタブレットが1台あれば何冊も持ち歩くことができるね。家でも、本を置く場所をとらないからスペースに余裕ができる。紙を使わないから環境にもいいかもしれないね。
ただ、スマホやタブレットには誘惑が多い。誰かからメッセージが来たり、SNSをついチェックしてしまったり……。一方本は重くてかさばるけど、文字を追うのに集中できる。誘惑がないからこそ、本の世界に集中できるんだ。
そしてなんといっても、紙の本は1冊読み終えると達成感がある。ランニングをして目的地に着いたようなね。物として実際に目に見えるから、「ああ、俺これだけ読んだんだなあ」って実感できるんだ。電子書籍もいいと思うけど、達成感を得たくて紙の本を読んでいるっていうのもあるかもしれないなあ。
じゃあ次にスマホで得られる情報と本で得られる情報の違いについて考えてみよう。ネットの情報はすぐに何かを知りたいときには調べればすぐに答えが出てくるからすごく便利だね。それに対して、本は読むのに時間がかかるけど、情報がきっちり整理されていてまとまっている。
ネットの情報が全て間違っているわけではないけど、正しいかどうかを見分けるのは至難の業。だけど本はいろんな人の目を通って出版されているから、信頼できると思うんだ。それに、自分の考えを整理したり、知識を深めたりするときに、切り取り記事よりも順序だてて物事を考える手助けになるのが本なのかな、って思う。
自分に蓄積される知識の量も違う気がするんだ。不思議なもので、ネットサーフィンをしていると情報がどんどん流れていってしまう感じがするんだよね。反対に本は、自分の目で追いかけて自分の手でページをめくるっていう能動的な行為だから、情報を自分で手にしている感じがする。そうすると、自分のなかでもどんどん知識が重なっていくのを感じるんだ。
次のページへ小島よしおさんが本屋さんへ行く理由